第90章 浮気相手が本当に堂々と入り込んできた?

高橋由紀は、あまり専門的な言葉は口にしなかった。けれど会話の端々から分かったのは、結婚して七年――長谷川栞が「幸せだ」と自分で思えたのは、最初の二年だけだったということだ。

それ以降は……。

とりわけ、ある女が彼女と中野航平の間に割り込んでからは、子どもまでが彼女から遠ざかっていき、不満めいた言葉を口にするようになった。

それが、長谷川栞を押し潰した最後の一押しだった。

長谷川栞が黙り込むと、高橋由紀は声を落として言った。

「栞さんって呼んでもいいですか」

患者とは、距離を縮めたほうがいい。短い時間で信頼してもらえれば、治療も進めやすくなるし、うまくいく確率も上がる。

長谷川栞...

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